前立腺肥大症
前立腺肥大症とは
男性特有の臓器である前立腺は、膀胱の直下に位置し、尿道を取り囲んでいます(大きさはクルミ程度)。ここでは精子に栄養を与え、保護する前立腺液が分泌されます。この前立腺が肥大する病気が前立腺肥大症です。この肥大化により尿道が圧迫され、尿の勢いの低下、残尿感、頻尿(夜間頻尿)、尿意切迫感などの症状がみられます。ちなみに、肥大化するとクルミから卵ほどの大きさになるとも言われています。
発症の原因は、加齢や男性ホルモンの影響とされ、60歳以上の男性に多くみられます。
治療は症状の程度によって異なり、主に薬物療法と手術療法があります。軽度の場合は薬物療法が一般的で、α1遮断薬(尿道を拡張させる働きがある)や抗男性ホルモン薬などが使用されます。症状が進行し、薬物療法で改善が難しい場合は手術療法となります。この場合、尿道から内視鏡を挿入し、内部から電気メスで前立腺を切除する経尿道的前立腺切除術(TUR-P)などの内視鏡手術が行われます。
過活動膀胱
過活動膀胱とは
膀胱に尿が十分溜まっているわけでもないのに、神経の異常などによって膀胱が刺激を受け、突然の尿意切迫感や切迫性尿失禁、頻尿などの症状がみられる状態(畜尿障害)を過活動膀胱と言います。40歳以上の男女12%程度が発症し、その半数程度に切迫性尿失禁が現れていると言われています。
発症原因には、中枢神経や脊髄の障害によるもの、女性の場合は骨盤底筋群の脆弱化による骨盤臓器脱、更年期における女性ホルモン不足、男性の場合は前立腺肥大症による膀胱の過敏反応などが挙げられます。
過活動膀胱が疑われる場合、腹部超音波検査で尿路(腎臓、尿管、膀胱)の状態を調べ、残尿測定(排尿後にどれだけ膀胱内に尿が残っているかを確認)や尿検査を行い、何らかの病気がないかを確認します。
行動療法として、生活習慣の見直し(水分やカフェインの摂取量を適正にする 等)、膀胱訓練(排尿の間隔を長くし尿を膀胱に溜められるようにする 等)、骨盤底筋訓練などが行われます。また薬物療法として、抗コリン薬やβ3刺激薬などを用いて治療します。